薬の飲ませ方 ウソはダメ
子ども用のクスリはチョコレート味、イチゴ味、バナナ味など、少しでも飲みやすくするための様々な工夫がなされています。クスリによってはヨーグルトに混ぜるのはいいが、オレンジジュースに溶かすと駄目な場合、またその逆の場合もあります。
クスリ自体があまりにも苦みが強い場合にはコーティングして中の味が外にもれでないようにしたものもあります。コーティング剤はザラザラして飲みにくそうだからとわざわざ水に完全に溶かす人がいて、これはまずくて大人でも飲めない代物になってしまいます。各々のクスリについて飲みやすくするテクニックは薬剤師さんが指導してくれますのでそれに従うことが大切です。
「うちの子はどんなクスリも飲みません。クスリだと分かると必ず吐き出してしまいます。」という方がたまにおられます。
よその子どもはだませても自分の子は余程味のいいクスリでないと飲んでくれませんよという医者に対する挑戦的なメッセージのように感じます。
《お母さんは子どもにクスリを飲ませる時、クスリよと言って飲ませていますか。》
「おいしいから飲んでごらん、と言っています。」
子どもは病気になって熱が出たり、お腹がいたくなったりするといつもと体の調子が違うと感じます。その時に母親が心配そうな顔をして、「クスリよ」と言っていつも口にしているものと違う味のものを持ってくる、それを飲むとうれしそうな顔をする、このようなことを何回か経験すると、病気を認識できるようになるし、その時にはクスリという美味しくないものを飲むものだと分かるようになってきます。
こんな赤ちゃんにクスリと言っても分かるはずがないのだから、「これはおいしいよ」と言ってだまし続けていると何時か必ず子どもはそれを見抜くようになります。母親がおいしいと言って意味ありげに持ってくるものには何か裏がある、母親の言葉を信じなくなってしまうのです。未だ物事が分からない年齢だから小手先でごまかせばいいというものではありません。子どもは親から多くの知恵を与えられて育っていきます。その親が信用できなくなれば、他人も信頼できない人間になるのではないかと心配します。子どもにはウソをつかない、夫にもウソをつかない、大原則だと思います。
キリスト者保育連盟(東京都新宿区西早稲田2-3-18-75)発行の月刊誌 『ともに育つ』第475号(2008年10月1日)に寄稿、掲載されました。