感染症よもやま話

2018 01/18 子育て中のママパパへ

長引く咳とたばこ

診療所を開設して約3ヶ月経ちました。
仕事を始めるといろいろな点で診療所と 病院の違いを感じますが患者さんの質が違うのもその一つです。
患者さんが病院に行こうと決心するにはそれなりの病気の重さがあり、軽症の方は診療所を受診する傾向があります。
今までの私の感覚では この程度なら家で経過をみてもいいだろうなと思われる患者さんが診療所に来られます。その一つに『長引く咳』があります。

一般に、かぜにかかるということはウイルスがのど、 気管などの空気の通り道に付着し、増殖して、 そこに炎症(ただれ)をおこし、その部分が敏感になり分泌物(喀痰)も増加します。
そのため咳きが出たり、鼻水、喀痰がでるようになるのですが、このような症状は体の中にウイルスに 対する抗体が産生されると4~5日、 長くても7日位で治ります。
しかし、これが2~3週間も続くことが あり来院されます。

「1ヶ月位咳きが続いています。かぜ薬を飲むのですが全然良くならないのです」

このような訴えには呼吸の仕方、 咳きの出方、喀痰の状態、聴診による呼吸音、 打診での喀痰の誘発など、もちろん発熱、食欲なども問診もします。
かなり慎重に時間をかけて診察し、 最終的に取って置きの質問をします。

「家にたばこを吸う人がいますか」

おもしろいことに たばこを吸う人がいる家庭の場合の答えは 見事に同じです。
「いますが換気扇の下で吸っています」あるいは「ベランダで吸います」。

とにかく子供の前では吸っていませんと強調します。私はこのような答えにひるんだりしません。
「お母さん、たばこを吸っているひとのそばに行くと はたばこの臭いがするでしょう。あれはたばこの成分が着物についているからですよ。いくら子供の前では吸わなくても、 僅かかも知れないがたばこの成分が子供の気道に吸い込まれ、ウイルスによってただれた部分を刺激して、そのためなかなか症状が治まらないのだと思います。 思いきってたばこを止めたらどうですか」

このような説明をします。
住友病院の井上先生も同じような事を言っておられます(下部参照)。
「私も長引く咳の全ての原因がたばこであるとは言えないと思っています。しかし、少なくともその一部はたばこが原因になっていると考えます。子供を育てる親の姿勢として少しでも害になる可能性があるなら、 自分の欲望を犠牲にするのは当然であり、親の責任として子供に例え僅かでもいい環境を作ってやろうという気持ちを持ってほしいのです。」

小さいことの積み重ねが環境をよくし、 子供も親の愛情を感じるようになると思っています。