感染症よもやま話

2018 01/18 若いお医者さんへ

予防接種について

初めての子どもを育てるお母さんの多くは予防注射(ワクチン)のことを覚えていて決まった時期にまじめに受ける人が多いのですが二番目、三番目の子どもになるとその内に受けようと思っている内に遅れてしまうことがあるようです。クリニックを受診した患者さんの母子手帳をチェックして接種を勧めるのですがその時のお母さんの答えにはいくつかのパターンがあります。以下にその時の私の返事を書いてみます。

その一:ワクチン不信型
麻しん、水ぼうそうなどは自然にかかった方が免疫(抵抗力)が強くなるからワクチンをしない。
返事:自然に発症すると高い熱が出たり、多くの水疱が出て、とにかく子どもにとって辛いことなので接種した方がいいです。大人になってから罹ったりしたらそれこそ命にかかわる合併症をおこすことがあります。

その二:副作用心配型
注射液を準備して針を刺そうとする、その直前に 副作用はありませんか の質問。
返事:世界で一日に発着する飛行機は何機あるか知りませんが、一年に300機くらいが墜落しているそうです。今の質問は自分が乗ろうとしている飛行機のパイロットにこの飛行機は墜落しないですかと聞くのと同じことです。医療者は出来るだけ副作用がでないように努力するし、飛行機も整備をします。帰り道で自動車事故に遭うこともありますよ。

その三:付和雷同型
Aちゃんはおたふくかぜワクチンをしていたのにおたふくかぜに罹ったそうよ 予防注射をしても罹るならしなくても一緒ね そうよ そうよ
返事:予防接種をしても2~3%は発症することがありますが、自然に罹った場合より症状は軽くすみます。うわさに惑わされないで、専門家を信用しましょう。

その四:マスコミ妄信型
日本のマスコミは人の不安をあおることが自分たちの仕事と思っているみたいですが、予防接種の副作用の報道が繰り返えされると、自分が当事者になるように心配する。
返事:予防接種によって不幸な結果になる人がいるのは事実です。しかし、予防接種で何百、何千人もの人々が命を失わなくて済むのも事実です。百日咳の予防注射を中止したために多くの子どもが亡くなったことは殆ど報道されませんでした。宗教心のちがいでしょうか、ヨーロッパでは予防接種後の副作用を悪魔の微笑みと呼び、当たり前のことと考えられているようです。

キリスト者保育連盟(東京都新宿区西早稲田2-3-18-75)発行の月刊誌 『ともに育つ』 第480号(2009年3月1日)に寄稿、掲載されました。